<セッション>

SY-65 [反応工学部会シンポジウム]
連続生産を見据えたマイクロ化学プロセス技術(学生賞あり)

<テーマ>

H308 [招待講演]スラグ流抽出法を用いた実用的なビール苦味価測定装置の開発

<発表者>

京都電子工業 河村祐亮*・木村徹・小林義康・川口賢治
キリンビール 黒杭隆政・加茂研一・中村亮太
阪公大工   武藤明徳

<要旨>

ビールの特徴として「苦味」が挙げられます。その指標として、「苦味価」((International Bitterness Units; IBU)が用いられ、ビールの製造工程において品質管理の観点から苦味価の測定が行われています。現行の方法は、以下のプロセスです。遠沈管に炭酸を抜いたビール10 mL とイソオクタン20 mL と6 mol/L 塩酸0.5 mL (または3mol/L 塩酸1 mL) を加えて振盪し、ビール中の苦味成分をイソオクタンに抽出します。振盪後は遠心分離によりビールとイソオクタンを分離し、イソオクタンの275 nm における吸光度を測定します。そして、吸光度に50を掛けることで苦味価を算出します。本方法は人手による熟練技術が必要で、課題は作業の迅速化・効率化・安定化を狙いとした自動化です。本開発では、上記の振盪と遠心分離の操作の代替えとしてマイクロ空間で形成されるスラグ流を用いた抽出(注1)により、現行では10分以上の測定時間を要していた作業が、自動により5分以下で行えるようになりました。

(注1)参考情報

<所感>

マイクロ空間内に形成されるスラグ流の特徴を上手く活用した研究・技術開発です。実用化にあたっては、現行の国税庁所定分析法やビール酒造組合の BCOJ 規格等を改定していく政治的な活動も必要となりますが、効果が認知されれば自然と改定されると思われ、グローバルでみればそこそこのマーケットになると思いました。